数ある薬剤師の職場の中でも、「病院」は業務内容が幅広く高い専門性を求められるので、薬剤師としてのスキルアップにつながります。 知識のインプット・アウトプットも盛んです。 医療チームの一員として患者の治療にあたるため、仕事は多忙で責任も重くなりますが、それだけ強いやりがいを感じられるでしょう。 ですが病院への転職は、他の職場と比べると難しいと言われています。 病院への転職を成功させるためにはどんなことに留意しておけば良いのでしょうか。
同じ病院でもやりがいが違う?
病院の薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアに比べて決して求人数が少ないわけではありません。
転職サイトでは常に一定数の求人情報が掲載されています。ただし、やりがいを感じるために転職したい人には向いていない求人がほとんどです。
病院には大きく分けて「急性期病院」と「慢性期病院」の2種類があります。両方の性質を持つ「ケアミックス型」の病院もあります。
- 急性期病院
「急性期病院」は症状や容体の変化が激しい患者が中心で、そのほとんどは病床数が多い規模の大きな病院です。
業務は多忙で次々と緊急事態が発生します。そのたびに医師や看護師と連携して最適な薬の処方をしなければなりません。
少しの判断ミスが患者の生命を左右するので、高度な専門性が求められます。薬剤師としてのやりがいや自分の必要性を強く感じられるでしょう。
- 慢性期病院
一方、「慢性期病院」は症状や容体が安定している患者が多いため、薬の処方はそれほど変化しません。
クリニックなど規模の小さい病院が多く、自分のペースでゆっくりと仕事できますが、医師や看護師との連携はそれほど多くはありません。
似たような仕事を繰り返すだけの日々になりがちで、急性期病院ほどのやりがいは感じにくいでしょう。
常に求人があるのは慢性期病院の方ですが、転職先に求める要素とそぐわない病院を選んでしまうと、せっかく転職できても意味がありません。すなわち、薬剤師としてのやりがいを感じたいために転職したのに、慢性期病院に転職してしまうなどのケースです。
両者は求人情報の勤務体制から見分けがつきます。急性期病院は夜間の勤務もあり休日は不定期ですが、慢性期病院のほとんどは日中のみの勤務で週末は休みです。
急性期病院の募集が少ないのは、新卒の薬剤師を優先して採用するからです。
転職サイトに求人情報が掲載されるのは欠員を補充する時に限られます。
特に穴場は毎年3月です。
この時期は採用予定者が薬剤師国家試験に合格できず欠員が生じます。早ければ試験の終了直後に、自己採点の結果だけで辞退者が出るほどです。
ただし転職希望者に比べると圧倒的に募集人数が少ないので、求人情報が初めから公開されないか、たとえ知れたとしても既に募集が締め切られている場合がほとんどです。
病院の薬剤師の面接を通過するには
病院の薬剤師は少ない採用枠に大勢の希望者が殺到するので、調剤薬局やドラッグストアに比べると必然的に面接のハードルは高くなります。
身だしなみや受け答えなどの基本をクリアしているのはもちろん、いかにその病院で働きたいかの熱意を表すことが大切です。
その病院について仕入れられる情報にはすべて目を通し、過去の経験を交えて自分がどのように活躍できるか説明できるようにしておきたいものです。
病院の薬剤師に求められる人材
病院の薬剤師になるための特別な資格はありませんが、チームでの仕事が多いので、協調性やコミュニケーション能力が重視されます。
急性期病院であるほど、残業や夜勤、当直ができるように時間の融通を利かせたいところです。
未経験者でも研修制度のある病院なら問題はありませんが、一方で年数や業務内容など一定の経験を求める病院もあります。
特に30代以上になると、その傾向が強くなるでしょう。慢性期病院であれば診療科目や業務内容次第で、高齢でも少ない条件で転職できる場合があります。
転職コンサルタントの力を借りる
誰よりも早く求人情報を入手するには、専属のコンサルタントがサポートしてくれる転職サイトを利用するのが効果的です。
サイトには掲載されない非公開の求人でも紹介してくれる可能性があります。募集があったらすぐ面接に漕ぎ着けられるように、あらかじめ登録を済ませて自分の希望を伝えておくと良いでしょう。こうすれば実際の業務内容とのミスマッチも防げます。
さらにアドバイザーやエージェントの中には、病院との橋渡し役を引き受けてくれるところがあります。
面接の予定を調整してくれれば、現在の仕事を煩わせる心配がありません。また、チームの一員として仕事をする以上、雰囲気はチェックしておきたいところです。あらかじめ見学できる病院もありますが、アドバイザーやエージェントを通せばより頼みやすくなるでしょう。