薬剤師のデスクワークへの転職【研究機関編】
研究内容は?どんなスキルが必要?
研究する内容は研究機関によって変わります。
国や地方公共団体であれば、重要な施策や産業にかかわるもの、災害防止につながるものなどが中心です。
特に環境衛生関連の研究は薬剤師のスキルを活かせます。
例えば市販されている医薬品の品質や食品の残留農薬の検査、空気中や土壌、上下水道のモニタリング、騒音の調査などです。
最近では国や地方公共団体が、出資している独立行政法人や民間の**「CRO(受託臨床試験機関)」に研究を委託する場合もあります。
一方、民間企業であれば新薬の開発や臨床試験などが中心です。
近年は教育機関と提携した研究も増えています。
研究機関では試験や検査の結果を受けて、分析や解析も行います。
そのため、どの分野においても数値やデータを読み取る力や論理的な思考力を求められます。
薬を調剤する機会はほとんどありませんが、専門性が高まり社会的な意義も感じられるでしょう。
応募には博士号が必要?
多くの研究機関では応募資格の1つとして「博士」の学位を必要としています。
薬学部の場合は6年で卒業した後、さらに博士課程を4年間履修して薬学博士にならなければいけません。
博士課程は薬学部を卒業して就職した後でもあらためて履修することが可能です。
また、研究機関の中には卒業すれば取得できる「修士」でも応募できる求人があります。
勤務条件や雇用期間に注意
運営母体の種類を問わず、ほとんどの研究機関は土日祝日が休みで日勤が中心です。
一方で給与は年収200~900万円台と大きな開きがあります。
国や地方公共団体なら昇給があるので、最初から年収が高止まりする民間企業に比べると長く働くほど総収入は多くなるでしょう。
ただし、ほとんどの研究機関は任期が決まっており、短ければ1~2年、長くても10年以内に雇用契約が終了します。
雇用形態も契約社員や非常勤が中心です。
国や地方公共団体では研究終了後、国公立の病院など他の部署への異動が考えられます。
それは民間企業の研究が新薬の開発という比較的永続性があるテーマが多いのに対し、国や地方公共団体の研究は一定の成果があると、それで終了するテーマが多いからです。
また成果が出る前に予算がなくなり、研究自体が打ち切りになる場合もあります。
どのように転職すればいいの?
国の研究機関で働くには国家公務員の総合職の試験に合格し、研究機関に志願する流れとなります。
地方公共団体では研究機関で欠員が生じた時に募集が行われるケースが多く、採用には地方公務員試験に合格しなければいけません。
どちらも研究機関の職員は全体の1%未満しかおらず、採用されるのはかなり難しいでしょう。
ただし、研究によっては民間企業から期間限定で人員を募集する「任期付研究員制度」があるので、薬剤師の幅を広げるために参加する方法もあります。
独立行政法人の研究機関は、たとえ国や地方公共団体が出資していても採用に関しては独自に行っています。
民間企業と同じく求人情報を公開しており、主に「科学技術振興機構(JST)」が運営する「JREC-IN Portal」という研究者人材データベースでも探せます。
転職サイトでも探してみよう
もちろん研究機関の求人情報は民間企業をはじめ、薬剤師向けの転職サイトでも公開されています。
ただし誰でも応募できるわけではないので、登録しないと見られなかったり、一定のスキルや資格を保有していないと紹介されなかったりする非公開求人として制限がかかっています。
それぞれの求人には専任のコンサルタントがついており、求人情報に掲載されないような詳しい情報を教えてくれるでしょう。
特に研究機関は任期が決まっている場合が多いので、終了後はどのような扱いになるのか事前に確認した方が良さそうです。