薬剤師に限らず、仕事では多かれ少なかれ「コミュニケーション能力」を求められる機会があります。 それでいて、コミュニケーションを苦手とする薬剤師はたくさんいます。 せっかくスキルがあるのに、コミュニケーションを理由に仕事が長続きしなければ大きな損失です。 この場合、**解決方法は「苦手意識を克服する」か「コミュニケーションが少ない職場に転職する」かの2つです。** それぞれ、どのようにすればいいのか見ていきましょう。
薬剤師にも求められるコミュニケーション能力
かつて調剤薬局や病院で働く薬剤師は、薬を調剤して渡すのが主な仕事でコミュニケーション能力はそれほど重視されていませんでした。
けれども近年は服薬指導や薬歴管理を徹底したり、在宅医療や在宅介護に力を入れたりするようになっています。
平成28年からは「かかりつけ薬剤師制度」も施行され、薬剤師が積極的に患者とコミュニケーションを取って、正しく薬を服用してもらい、症状が改善するように働きかけなければいけません。
求人市場においても、例えば製薬メーカーのMRに就いていた薬剤師が、調剤薬局やドラッグストアに転職する場合、調剤未経験でもそれまでの仕事で培ってきた人とのコミュニケーション能力が評価され転職を有利に進められます。
現在は、薬剤師にもコミュニケーション能力が求められているのです。
患者に信頼されるコミュニケーションの学び方
コミュニケーションが苦手な薬剤師が多いのは、かつて薬学部が4年制だった頃、患者との接し方を学ぶ授業や実習が少なかったせいもあるでしょう。
6年制になってからは、5ヶ月ほど医療現場で実際に患者とコミュニケーションを取れる実習が設けられるようになりました。
こうした実習を受けずに薬剤師になっているなら、自らコミュニケーション能力を高めていかなければいけません。
早く身につけるには場数を踏んで多くの患者と接するのが一番ですが、あらかじめコツを学んでおくと余裕を持ってコミュニケーションできるでしょう。
基本は「傾聴」と「共感」です。
「傾聴」とは「相手の話に耳を傾けること」です。
服薬指導なら一方的に説明するのではなく、まずは患者の抱えている不安や疑問に耳を傾けましょう。
その上で「共感」という形で患者の気持ちを理解し、一緒に解決方法を考えます。
こうすることで、患者は安心することができ、薬剤師との信頼関係も生まれるでしょう。
このようなコミュニケーションのスキルは、薬剤師の有志によるセミナーやワークショップ、フォーラムなどで学ぶこともできます。
例えば「日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会」です。
あらゆる職種で働く薬剤師や大学の教員、生徒などが参加し、スキルアップや情報交換を行っています。
他にも、薬剤師のコミュニケーションについて書かれた本や、日本教育推進財団の監修による「コミュニケーション能力認定講座」などもあります。
特定の人とだけ接する職場は?
薬剤師にとってコミュニケーションが重要だと分かっていても、能力には個人差があり、向き不向きもあります。
どうしても接客業に対する苦手意識を拭えないのであれば、特定の人だけを相手にする職場に転職するのも1つの方法です。
例えば研究や開発、学術関連の仕事で顔を合わせるのは、同じプロジェクトに携わる同僚・上司が中心です。
製薬会社や医薬品卸の管理薬剤師であれば、MRやMSのような営業担当など社員に限られます。
たとえDI(ドラッグ・インフォメーション)の仕事があっても、相手は医療関係者がほとんどで、質問に答えられればそれ以上のコミュニケーションは求められないでしょう。
転職サイトで向いている職場を探そう
薬剤師がコミュニケーションを理由に転職する時は、転職サイトを利用するのが効果的です。
職場のコミュニケーションの多い少ないは表面的な求人情報では分からず、だからと言って面接で質問し、コミュニケーションが苦手なことが知られてしまうと良い評価はもらえません。
薬剤師専門の転職サイトでコンサルタントに相談すれば、最初からコミュニケーションを特に重視している求人は外してくれるでしょう。
あなたに適した職場を探し、紹介してくれることになります。
求人情報には掲載されない詳しい情報も教えてくれますので、コンサルタントと共にあなたに合う職場を見つけてください。