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病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するメリット・デメリット

病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するメリット・デメリット

病院の薬剤部で臨床薬剤師として働いている薬剤師のほとんどは、新卒からその病院に勤務しています。 そして彼らの中には、数年間病院で働き、薬剤師として一人前になると、更なるステップアップをするために転職を考える人もいるのではないでしょうか。 今までの経験を生かし、他の病院へ転職する人もいるでしょうし、保険薬局やドラッグストアで新たな経験をするという選択をする人もいると思いますが、転職先として「クリニック内の薬局」というのも考えられます。 今回は、病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するメリットとデメリットについて考えていきます。

病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するメリット

病院薬剤師を何年も経験していると、医薬品の知識、患者さまへの対応、チーム医療の一員としての活躍など、薬剤師としての基礎的なスキルを手に入れることができます。また、多くの病院は仕事量がとても多いため、仕事をさばくための事務的処理能力も身についているのではないでしょうか。

そのような状態にある薬剤師がクリニックに転職するメリットの一つは、「患者さんを通して専門的な知識を身につけられること」だと思います。

これは、私が病院からクリニックに転職して良かったと思ったことです。

病院で働いていると患者さんとの距離がなんとなく遠く、あくまでも医療従事者と患者さんという関係で対応する毎日でしたが、クリニックは身近な存在というイメージが患者さん自身にあるからか、患者さんの方が医療従事者をより近く感じてくれました。そして、近くに感じるからこそ、患者さんの方からいろいろな悩みを話してくださったり、病気に対しての質問を投げかけてくださったりしたのだと思います。

病院に勤務していた時は、薬局の窓口で患者さんと話す時間は長くてもせいぜい1、2分でしたが、クリニックでは10分以上一人の患者さんと話をすることも珍しくありませんでした。おかげで私は、教科書にも載っていなかった病状や訴えなどを患者さん自身から学ぶことができました。

医学や薬学は書物で学ぶものではなく、目の前にいる患者さんの中に答えがあるとよく言われますが、クリニックで働いてその意味が分かったような気がします。総合病院で学んだことがすべてだと思っていた私が、学ぶことは患者さんの中にまだまだたくさんあるんだと実感しました。

調剤や事務的な仕事が十分にできる薬剤師だからからこそ患者さんに時間を使うことができますので、病院からクリニックに転職した際は、ぜひ患者さんから多くのことを学ぶ機会を持っていただきたいです。

そしてもう一つ。他の医療職種の人たちの近くで仕事ができることにもクリニックに転職したメリットを感じました。

病院では病棟業務以外では医師や看護師、検査技師、栄養士などの仕事を直接見ることはほとんどありませんよね。クリニックでは同じフロアで、違う職種の人たちが働いていることもあるので、医師や看護師たちが患者さんにどのような指導をしているのか、それに対して患者さんはどのような反応をしているのかなどを薬局にいながら見ることができる場合が多いです。私は、その指導内容などを聞いて、薬局での服薬指導に生かすこともできました。

医師や看護師の指導と薬剤師の指導が違えば、患者さんからの信頼問題にもつながりかねません。「先生はそうは言ってなかった!俺は医者を信じるからいい!」というようなことを言われたことのある薬剤師も中にはいるのではないでしょうか?

周りの医療従事者の指導を聞けたということは本当に貴重な経験でしたし、薬剤師としての勉強にもなりました。

病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するデメリット

次に、デメリットについても考えていきましょう。デメリットとしては、行動範囲や業務の幅が狭まってしまうことが挙げられると思います。

病院では、調剤を一つとっても、入院患者さんの定時処方の調剤、臨時処方の調剤、外来患者さんの調剤がありますし、他に院外薬局からの問い合わせの対応、注射剤のセット・調整、院内製剤の作成、病棟のストック管理・払い出し、入院患者さんのための服薬カートのセット、病棟業務、などなど、業務の数がとても多いです。

また、病院薬剤師は、病棟に上がったり、窓口に行ったり、調剤室と注射室を行き来したりなど、四六時中動きながら仕事をしています。

それに比べてクリニックの薬剤師の業務は基本的に院内調剤と窓口での受け渡しが主。行動範囲は院内の狭い薬局の中だけですから、大きな病院から転職してきた薬剤師はあまりの環境の違いに最初は戸惑ってしまうかもしれません。

また薬局が狭いということは、薬局にいる仲間としょっちゅう顔を突き合わせなければいけないということです。

周りの人との人間関係がうまく行くような職場なら、病院よりアットホームで働きやすいとは思いますが、うまく行かない場合は、病院で働くよりも居心地が悪くなってしまう可能性さえあります。

転職する際は自信をもって

今回は、病院薬剤師からクリニック薬剤師へ転職するメリット・デメリットについて見てきました。

クリニックは職場の面積自体が小さいことから、転職するメリットもデメリットも人との関係に関するものが多いことが分かったと思います。

私の経験から一つ言えることは、病院薬剤師として一人前に仕事をしてきた人であるならば、どんな職場に行っても問題なく活躍できるということです。デメリットを聞いてしまうと不安に感じてしまうこともあると思いますが、ぜひ自信をもって転職成功への一歩を踏み出してみてほしいです。