東京オリンピックが来年に迫り、海外から日本語の話せない人がたくさん訪れるということで、今病院に勤める医師や看護師、リハビリテーションで働く理学療法士や作業療法士が英語を習い始めています。 海外から来た方々が患者さんとして来院された際、対応するために努力されているのだと思いますが、薬剤師もまた例外ではありません。 服薬指導を英語でできるように、また企業において海外とやり取りができるように、海外の文献がスムーズに読めるようになど、英語力をアップするために努力している薬剤師も最近どんどん増えてきています。 そして中には、「一生懸命勉強した英語を生かせる職場に転職したい」という薬剤師もいるのではないでしょうか。 今回は、薬剤師が英語を生かすためにはどのような転職先が考えられるのかをご紹介したいと思います。 また、ご紹介する職業は逆に言えば英語が必要な職場ということになるので、そのような職場を転職先に考える際は英語の必要性も同時に考えてみると良いかもしれませんよ。

海外の人が多く訪れる保険薬局で英語を生かす

即英語のコミュニケーション能力を生かしたいという場合におすすめしたいのが、この「海外の人が多く訪れる保険薬局」です。海外からの患者さんの中には日本語が話せない、また話せたとしても医療用語は分からないという方が数多くいらっしゃいますので、服薬指導の際に英語のスキルを活躍させることができます。

「具合が悪い時に日本語なんて考えていられない、英語で説明してほしい」という患者さんに私も何度か会ったことがありますが、もし自分が海外に行って具合が悪いのに外国語を話したり聞いたりしなければいけない状況を想像すれば、患者さんの気持ちが痛いほどわかりますよね。

そのような患者さんたちを自分の英語力で手助けすることができたら、仕事へのやりがいも大きくなること間違いなしです。

海外からの患者さんが多い薬局の見つけ方

薬剤師の中には海外の患者さんが多い薬局で働きたいけれど、どのように探したらよいのか分からないという人もいると思います。

まず、目安になるのは外国人が多く働く職場がどこにあるかということです。外資系の企業が集まる六本木などは海外の人がとても多いですし、大使館の周辺や外国人が経営するレストランが多く並ぶレストラン街があるところは、やはり海外からの患者さんが多い傾向があります。

もし自分で探すのが難しいという場合には、転職エージェントに登録をして、外国人の患者さんが多く来局する薬局に転職したいという希望を伝え、担当者に探してもらってみてください。転職エージェントは転職のプロとして一般の私たちが知らない情報を用意していますので、希望の職場に転職できる確率が高くなりますよ。

ちなみに、「英語が生かせる薬局」と聞くと、イギリス人やアメリカ人、オーストラリア人など英語圏の患者さんがたくさん来局する薬局をイメージする方も多いと思いますが、現在日本に多く滞在している中国人や韓国人などのアジア系の人とのコミュニケーションにも英語は役立ちます。日本以外のアジア系の人たちが多く住む場所にある薬局というのも、英語を生かすのにうってつけの場所かもしれません。

治験分野で英語を生かす

コミュニケーション以上のビジネス英語を生かしたいという場合には、治験関係の仕事への転職がおすすめです。

現在、治験などの臨床試験はグローバル単位で行われているのが通常で、海外からのデータの読み取りや、報告書の作成、検査機関への依頼などあらゆるところで英語が必要になります。医療機関側で治験を進めるCRC(治験コーディネータ）や企業側で治験を進めるCRA（臨床開発モニター）、はもちろんその他治験データの解析などで治験に携わるあらゆる職業において英語力が必須であると思っていてください。

自分の英語力が将来の新薬開発に役立つなんてとても嬉しいことですよね。

転職先としては、CRCの場合はSMO、または治験を行っている病院、CRAなど企業側で治験をサポートしたい場合にはCROや製薬会社が考えられます。

また、先ほど転職エージェントの利用についてお話ししましたが、治験分野の転職の際も転職エージェントにアドバイスをもらい、どのような職種が自分に合っているのかや英語がどのくらい生かせるのかを確かめながら進めたほうが、転職成功に近づきますよ。

身に付けた英語のスキルは将来もっと役に立つはず

今回は英語力を生かせる職場の紹介をしました。たとえ日本で働いていても、医療機関や企業で英語力が存分に発揮できる可能性があることが分かったと思います。

ですがその一方で、せっかく身に付けた英語だからこそ患者さんのために役立てたいのに、その場所や機会がないと悩んでいる薬剤師も実際にいるのではないでしょうか。

現在はまだ、英語を生かせる職場は、限られた場所や限られた分野だけかもしれませんが、今後社会が急速に国際化されることを考えると、英語を生かせる場所はどんどん増えていくことが予想されます。

将来は、英語を使えなければ仕事にならなくなるということも考えられますから、英語力を持った薬剤師の活躍はこれからもっと期待されていくことでしょう。