転職サイトなどを利用する際に、皆さん、一番譲れないことは何でしょう? 通勤時間の短さ?希望したお休みが取れること?職場の雰囲気?人それぞれ異なる希望があると思います。 お給料が高めのところ、という方もいらっしゃると思います。しかしお給料が高めの職場ということはイコール仕事大変になると言えるのではないでしょうか? 高給を希望される方に転職サイトからよく提案されるのが「1人薬剤師でも大丈夫ですか?」というお話です。 転職を考えたことがある方であれば一度は「1人薬剤師」という言葉はお聞きになったことがあるかもしれませんが、具体的に条件や給与などはどうなっているのでしょうか?
目次
1人薬剤師とは?
その名の通り“1つの薬局に1人しか薬剤師がいない薬局”です。
処方箋の取り扱い枚数は1人の薬剤師につき1日40枚(歯科や眼科など例外あり)、と定められています(年間平均で)。という事はそれを超えなければ法律上、薬剤師は1人でも何の問題もないのです。調剤薬局において、その処方箋枚数の範囲の中で1人で業務を行う薬剤師をさします。
ではメリットとデメリットとは何なのでしょうか?
1人薬剤師のメリット
給与面がいい
何といっても1人薬剤師は給与面で待遇されるということです。ある調べでは、何と平均年収で100万円ほど高くなるというデータもあります。
どんな仕事に関しても言えることですが、一番の経費は人件費です。考えてみると新卒の薬剤師でも、1人雇用すれば400万円ほどは年間かかってしまうので、それに比べれば会社的には割安なのかもしれません。
やりたいように出来る
1人なので他の人を気にせずに(事務さんなどは別として)自分のやりたいようにお店の雰囲気や、やり方を作ることが出来ます。
何人も薬剤師がいるような薬局では、「自分はこう思う」と言っても他の人の同意が必要だったり、却下されてしまうことも少なくありません。創意工夫に満ちている人や、自分でなんでもやってみたいといった方には、向いている職場です。
他の人に気を使わない
薬剤師が多数いる薬局では人間関係が複雑なところや、自分の嫌いな人がいて働きたくない・・・そんな経験が調剤薬局で働いたことがある方であれば、思い当たる方は多いのではないでしょうか?
でも1人薬剤師においては全く問題ありません。何といっても1人しかいないのですから。その為、あまり人間関係でゴチャゴチャしたくない方には適した職場ではないでしょうか。
1人薬剤師のデメリット
全て1人でやらなければいけない
当たり前ですが誰も助けてくれません。1日の処方箋枚数は少なくても、集中する時間帯などがあります。そのような時でも調剤・監査・投薬をすべて1人で行わなければいけないので、作業的にはかなり大変になります。
今までは自分のミスを他の薬剤師が気づいてくれたかもしれませんが、1人薬剤師になるとそうはいきません。常に神経をとがらせて一つ一つの作業を行わなければいけません。全て自己責任になってしまいます。
相談相手がいない
目の前で患者さんが待っているけど、この薬の使い方が正しいかわからない。この薬とこの薬は一緒に飲んでいいのかな?など、日々様々な疑問の中で働いていかなければいけません。
複数の薬剤師がいるときは先輩なり同期なり、相談したり聞いたりする相手がいます。しかし1人の場合はそうはいきません。自分の判断が全てです。
それを踏まえると、まだ経験の浅い薬剤師さんには難しいかもしれません。ある程度の経験と知識を兼ね揃えた方の方がいいでしょう。
休みがとりづらい
これも1人薬剤師のデメリットです。
チェーン薬局などではある程度他の店舗から応援がきてくれたりして人の融通が利きますが、それでもお休みの希望は後回しにされがちで、希望の休みや有休などは取りづらいところが多いようです。
1つの店舗に複数の薬剤師がいれば、その中で話しあって順番に夏休み、と出来ますが、1人の場合は無理やりメインの医療機関の休みに合わせて取らされてしまうことがあります。
その為、希望通りの長期の連休などはなかなか難しいでしょう(薬局によっては取れることもあるかもしれませんが)。
結局「1人薬剤師」ってどうなの?
どんな職場でもメリット・デメリットはあります。転職において重要なのは絶対に譲れない条件を持つことです。
その条件に合致するのであれば「1人薬剤師」はお勧めです。高給がほしい、人間関係が簡素なところで働きたい、などの希望が上位にくるのであれば、転職サイトのコンサルトさんに聞いてみてください。多くの転職サイトで、1人薬剤師の案件は多数あるはずです。
1人ではまだ経験もないし全てをやる自信はない。そういった方は1人薬剤師の薬局は避けるべきでしょう。
ただ給与の面で今後、診療報酬は下がっていくことが予想されます。そうなれば自ずと薬剤師の給与も下がっていきます。多少大変でも、給与面を考えるとこれから1人薬剤師の案件は人気になってくることが予想されます。