女性の社会進出が話題になって久しいですが、それでも一般企業に勤務する男女の年収には開きがあるのが現実です。 では薬剤師の世界では男女差での収入の開きはあるのでしょうか。 国家資格を保有する薬剤師の世界では、一般企業勤務と違う傾向があるのでしょうか。 詳しくご説明しましょう。
目次
薬剤師の男女別平均収入比較
まず最初に、薬剤師の男女別平均年収を比較してみましょう。
データは厚生労働省発表の「平成25年度賃金構造基本統計調査」を参考にしています。
これによると、男性薬剤師の場合で平均年収は562万円で、女性薬剤師では520万円となっています。
男女合わせた薬剤師の平均年収では533万円でした。
また男性薬剤師の平均月収はおよそ39万円で、女性薬剤師の場合はおよそ36万円となっています。
これを見る限り、女性薬剤師の平均年収の方が低い傾向が見て取れます。
どうしてこのような格差が生まれてくるのでしょうか。
男女の働き方の違い
男女ともに、国家資格を得て薬剤師となったにもかかわらず、どうしてこのように収入面で格差が生じてしまうのでしょうか。
薬剤師の世界は男尊女卑なのかと憤慨される方もいらっしゃるかもしれません。
実はこのような格差が生じてしまうのは、男尊女卑などではなく、男性と女性の働き方の違いにあるのです。
一般的に男性薬剤師はフルタイム勤務、すなわち正社員として働くことがほとんどです。
しかしながら女性薬剤師は、主婦として子育てや家事をこなしながら仕事をしたいと考える人が多いため、結果的に正社員としてではなく、パートやアルバイトという立場で働いている人が多くいるわけです。
そのため、勤務時間そのものも男性薬剤師と比較すると短くなっています。
そのことを考慮すると、平均月収差でおよそ3万円、平均年収差では42万円の差しかついていないということは、女性薬剤師にとって決して不利な状況ではないと言えるのではないでしょうか。
長く働いてくれる男性が優遇される傾向がある
また女性薬剤師が男性薬剤師と比較して、不利な面があります。
それは女性のライフスタイルなどが変化することです。
これは、出産や育児などがそれにあたります。
結婚後に出産や育児などで退職したり、休職するケースが多く、仮に仕事ができたとしてもごく短時間しか勤務できないために、それが許される職場に転職する例も多く見られます。
すなわち、入職しても短期間で退職する人が多いということになってしまうのです。
一方、男性薬剤師の場合は、勤務先に対する不満やステップアップを目指すなどの事由が無い限りは長く勤務することが一般的です。
薬剤師を雇用する企業や医療機関などにとっては、退職される率が低く、長く勤務し続けてくれる薬剤師、つまり男性薬剤師を優遇する傾向になってしまうのです。
女性でもフルタイム勤務なら対等の収入が得られる
では女性薬剤師が男性薬剤師と同様に、短期間で退職することなく長く働き続けると、その収入はどうなるのでしょうか。
例えば結婚しても子供を作らず、働き続ける場合などです。
このケースなら、管理職などのポジションに就くか就かないかを考慮しなければ、男性薬剤師と収入面で格差ができてしまうことはまずないでしょう。
しかし一般的には、育児などが終わってから正社員としてフルタイム勤務をするなどのケースがほとんどであるはずです。
この場合は、休職していた時期があるため、キャリアも男性薬剤師と同じ程度積んできたとは言えませんので、最初は格差が生じてしまうことは否めません。
しかしながら、働き続けるうち、その格差は確実に埋まっていくでしょう。
薬剤師では男女の収入差は無いと言える
上記を読んでくださればお分かりいただけたでしょうが、薬剤師の場合は性別の違いが収入に直結しているのではなく、ライフスタイルの違いによって収入に違いが生じています。
また管理職などのポジションも、男性しかなれない訳ではありません。
能力さえ認めてもらえれば、女性薬剤師であっても管理職などになり、手当も支給されるはずです。
つまり、薬剤師の仕事では、男女格差は生じていないと考えられるのです。
薬剤師の仕事はライフスタイルに合わせられる
薬剤師の仕事は、本来、男女格差がなく、しかも出産や育児で休職をしてからでも復職できます。
またその後正社員として働き続ければ、男性薬剤師との収入差も縮めていくことができます。
そればかりか、パートやアルバイトとして働いた場合でも、他の職業よりも時給は良く、新しい医薬品などの知識を得ることもできます。
つまりパートなどで働く際にも、正社員として復職するための準備期間にできるということです。
女性薬剤師は性別による収入差を意識するのではなく、ライフスタイルに合わせて働くことができるその薬剤師の仕事の柔軟さを最大限活用し、人生のそのタイミングに応じた働き方を常に考えていくべきでしょう。
すなわち、男性薬剤師とは違った視点で薬剤師の仕事をとらえていくことが大切ではないでしょうか。