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将来的なキャリアパスが築きやすいCRC

薬剤師が調剤薬局からCRCへ転職する場合のメリット・デメリット

薬剤師が調剤薬局からCRCへ転職する場合のメリット・デメリット

薬学部には「臨床試験(研究)」の授業があります。 卒業して一旦は調剤薬局で働いてみたものの、再び臨床試験にかかわりたくて転職を考える薬剤師もいます。 そんな時、転職先の候補となるのが「CRC(治験コーディネーター)」です。 治験とは、製薬会社が新薬を承認してもらうために厚生労働省の省令で定めた基準(GCP)に従って被験者に薬を服用してもらい、必要なデータを集める作業です。 臨床試験の一種とも言えます 調剤薬局から転職する場合、これまでの経験は活かせるのでしょうか。 まだ、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

CRCの仕事で調剤薬局の経験は役に立つ?

CRCは治験の現場担当者として、医療関係者や被験者など治験に参加するスタッフの調整役やサポートを務めます。

CRA(臨床開発モニター)と混同しやすいですが、CRAは「治験の監督」という立場であり、CRCはCRAが作成した「プロトコル」という指示書に基づいて治験を進めます。

CRCの主な勤め先は「SMO(治験施設支援機関)」です。

かつては治験を専門に行う医療機関でCRCを抱えていましたが、近年では人員コストの削減や治験の客観性を確保するためにSMOが受託するケースが増えています。

治験があるたびにCRCが医療機関に派遣されるシステムです。

1つの治験は早ければ3ヶ月、長いと1年以上かかります。

1人が複数の治験を受け持つ場合が多く、その時々でリーダーやサブリーダーなど役割が変わります。

調剤薬局で働いた薬剤師は薬の知識が豊富で、処方箋を扱っているうちに治療や疾病についても詳しくなります。

そのためプロトコルや治験の進め方に対して薬剤師の立場から問題点に気づけます。

さらに服薬指導や薬歴管理をした経験は、被験者に治験で使う薬について分かりやすく説明したり、副作用の原因を素早く突き止めたりするのに役立つでしょう。

何よりも「コミュニケーション」が大切

CRCの仕事に薬剤師の免許や調剤薬局での経験は役に立ちますが、それ以上に必要とされるのが「コミュニケーション」のスキルです。

治験を円滑に進めるには参加者同士が信頼し合うのが何よりも大切です。

これは、調剤薬局の服薬指導にも通ずるものがありますが、そのためにはCRCが相手の気持ちに寄り添い、不満や不安を解消しなければいけません。

時には治験を妨げかねない要求もあるでしょう。

それでも上手に折り合いをつけながら治験を進行させるスキルが必要です。

日頃から相手の話に耳を傾ける「傾聴」を習慣づけて、言葉の裏にある要望を汲み取れるようにしておきたいものです。

CRCへの転職で考えられるメリット

視野が広がるのはメリット

CRCとして働くのは、治験という形で臨床試験に深くかかわれるだけでなく、多くの人と接する様々な経験を通して視野を広げられるメリットがあります。

苦労して治験した新薬が世に送り出されれば大きな達成感もあるでしょう。

キャリアアップできる可能性が高い

調剤薬局でのキャリアアップでは、管理薬剤師への昇格が一般的ですが、大手チェーン薬局以外ではポストの人員数が少なくキャリアアップが難しい場合が多いです。

比べてCRCの場合は、リーダーやマネージャーなどポストが多く、昇格できる可能性は高くなります。

当初の年収だけを見れば、平均的な調剤薬局の年収である500~600万円と比べると、CRC未経験では300~400万円と大幅に下がります。

ただし、キャリアアップするに従って調剤薬局を上回る年収が期待できます。

将来的なキャリアアップを見込むのであれば、CRCの方が適していると言えるでしょう。

CRCへの転職で考えられるデメリット

人間関係のプレッシャーはデメリット

治験を円滑に進めることが役目のCRCは、治験のスタッフや被験者を思い通りにコントロールできないと、ストレスが溜まると同時に力不足を痛感します。

調剤薬局で働くのと違って、人間関係のトラブルによる治験の遅れはSMOや製薬会社の損失につながります。

その点ではプレッシャーが大きいでしょう。

当初の年収は下がる

前述のメリットで取り上げましたが、CRC未経験者の場合、当初の年収が大幅に少なくなってしまいます。

将来的なキャリアパスを十分に考えたうえで転職すべきでしょう。

派遣先への通勤に困る場合も

転勤はほとんどありませんが、SMOによってCRCを派遣するエリアは異なります。

エリアが広すぎると遠方の病院に派遣されることもあり、通勤に苦労するかもしれません。

教育・研修制度の有無を確認しよう

国内外で新薬の開発が激化する中、治験は数多く予定されておりSMOやCRCのニーズはますます高まっています。

薬剤師の免許を持っていれば有利に転職できますが、それだけでは実際に仕事をする上で不十分です。

例えばプロトコルの読解やGCPに対する理解、カルテを判読できるスキルが必要です。

またSMOの顔として製薬会社の人間や医師と接する時は、挨拶や言葉遣い、メールの文体に至るまで社会人としてのビジネスマナーを要求されます。

調剤薬局の勤務経験しかない場合は、ビジネスマナーについて改めて習得する必要があるでしょう。

CRCに転職する時は、こうした未経験者への研修制度が充実しているSMOを選びたいものです。

講習の時間を設けてくれるのか、OJTなのか、周囲はどこまでサポートしてくれるかなどを確認しましょう。

ただし、ビジネスマナーについては、書籍や講座など自分独自でも勉強できますし習得も比較的容易ですので、事前に身につけておいた方が望ましいです。

CRCへの転職は転職サイトの利用が効率的

薬剤師が活躍できる職種の内、CRCのような企業勤務の求人は、非公開求人扱いになっていることが多いものです。

そのため、転職時には薬剤師専門の転職サイトを利用することが、最も効率よく転職先を探し出せることになります。

転職サイトに登録すれば、非公開求人の閲覧や紹介を受けるだけでなく、専任のコンサルタントが、研修制度の有無や職場の環境など、求人先の詳しい情報も教えてくれます。

CRCへの転職には転職サイトとコンサルタントを活用しましょう。